キズ絆 - Scene2-
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----- 明転 ( 次の日の事務所 )*1
事務所にはソファに座る花岡、スツールに腰掛け雑誌を読む智子。かえでは布巾を片手にテーブルを掃除し、武は「今度買い物でも行かない?」などとかえでに話掛ける。
花「かえでちゃん!里美さんの写ってる写真持ってないかな?」
か「あるにはあるけど、私も一緒に映っちゃってるよ?」
花「構わないよ、この写真は何百人と写ってるからね」と言うと何の写真?と3人に突っ込まれ見せて見せてと寄られる
花「それにかえでちゃんが映ってるところは切り取らせてもらうから」
か「あのさ、花岡さんには悪いんだけど、里美さんまだお兄ちゃんの事好きだと思うんだよね。だってあの2人本当に仲良かったんだよ!喧嘩だって一度もしてるとこ見た事ないし!」かえでの話にうんうんと相槌を打つ智子と武
「お兄ちゃん弁護士目指してたでしょ!昔から困ってる人を助けたいって言ってて、それで弁護士目指してがんばってたのに、それなのに大学3年のときだったかな?急に大学辞めてこの探偵事務所開いたの。里美さんと別れたのもその頃だったかな。なんで2人は別れちゃったんだろう…」
「きっとあいつが浮気でもしたんじゃないのか!顔がちょっと良いからって」と勝手な憶測をペラペラ喋る花岡にかえでは「お兄ちゃん今でこそあんな感じっていうか、女好きみたいに見えるかもしれないけど、昔はもっとちゃんとしてて真面目って感じで。とにかく全然違かったんだから!」と仁を庇う。
そこに仁が自分の部屋からペットボトルの水を片手に起きてくる
「なんでかえでが居るんだよ」と聞く仁
「バイトとして来てあげたんじゃない!電話を取る人が必要だと思って!」
「電話取る人なんてほかにいるだろ」と智子と武をさす
「時給なら2500円でいいよ!」
それを聞いた智子が「じゃあ、私もバイトがいい🙋🏼♀️」と立ち上がり俺も!と武が続く
「不満があるなら2人はいつ辞めてくれたっていいんだよ」と返す仁
「てか、アンタまでなんで居るんだよ?」と当たり前のようにソファに座っている花岡に聞く
花「俺がどこで何してようと俺の勝手だろ」
仁「勝手じゃないなぁ〜?ここは俺の事務所だよ?大体いつから居んだよ?」仁と目が合わないようにそっぽを向きシラを切る花岡
「いつから居るんですか?」もう一度敬語で聞き直す仁
武「俺が来た時にはもう居たな」
仁「え?居たの?てかどうやってここ入ったんだよ?」と驚く仁
仁もソファに腰掛けハッピターンを食べる
その様子を見てびっくりする花岡
「信じられないな!寝起きでそんな乾き物食べるなんて。喉に詰まらせるぞ!おい、これ飲め」と自分が飲んでいた飲み物を仁に飲ませようとする
「いらねぇよ!てか、なんだよその濁ったの!」と花岡に飲まされそうになった飲み物にも触れる
「プロテイン!」「なんで朝飲むんだよ」「朝飲むのがいいんだよ!知らないのかよ。だいたい25とはいえ、おっさんは朝起きたら口の中でネバネバしてるもんだろ」
「アンタにおっさん呼ばわりされたくないよ」
すると仁は閃いた!と言わんばかりに悪戯そうな顔をしてもう一度ハッピーターンに手を伸ばす
花岡はハッと声を出し仁がハッピーターンを口に運ぶ様子を見つめる。仁はそのまま、もう一口食べる「信じられないな!」と驚く花岡。
「さてはお前ジプシーか?!渇きを知らないジプシーキングスか?!」そう言うと立ち上がった花岡は入り口の方に向かって
「ジョービー‼️ジョーバー‼️」と大声で足踏みして手を鳴らす。
「うるさいよ!近所迷惑だろ!」と一喝する仁
「てか今日はスヌーピーかよ」と花岡のネクタイに突っ込む。
そんな茶番をしていると事務所の電話が鳴る
電話の近くにいた智子が出ようとすると仁は「いいよ!ともちゃん」と制し、「かえでー電話ー!」とキッチンにいる電話番として来たと言っていた妹を呼ぶ。
「ちょっと、お兄ちゃん出てよ!手が濡れてるから」とキッチンから出てきて言う。
「拭けばいいだろ〜」と言い「いいの?!お兄ちゃん?電話切れちゃうよ!」と出る素振りを見せないかえでと押し問答する。押しに負けた仁が電話に出る。
「切れてんじゃねーか!てかお前出ろよ!」と電話の近くでかえでと仁の押し問答を見てた智子に言う。
「お前が出るな!って」と不貞腐れた顔で言う智子
「お前?!」と聞き返す仁
すると再び鳴る電話
今度こそ電話番に来たお前が出ろと言わんばかりに、かえでを顎で使う。
かえでも負けじとお兄ちゃんが出てよと言わんばかりに顎で使う。
また押しに負けた仁が電話を取る
「おー!隼人かー!上がっておいで〜!」電話の相手は仁の知り合いの様子。
あの言ってたー?と電話の相手が分かっている様子の武が聞く
「かえで!そいつかっこいいぞ!」それを聞き嬉しそうな智子をよそに「どうせお兄ちゃんの友達なんてたかが知れてるでしょ」というかえで。ちょっと納得した様子の智子
続けてその人は自分の後輩でまだ有名ではないが、俳優だと説明する仁。
エレベーターで上がって来た音が聞こえる。
♪ 〜 夢芝居/梅沢富美男
え?なに?!となる仁と3人
「ちょっと、たけちゃん見てきてくれる?」
武が事務所の入り口の方は向かうと
曲に合わせて 半裸にジャケット サングラスを掛けた男性がラジカセを持って登場する。
彼は仁の後輩で俳優の 風祭隼人 ( かざまつり はやと )*2
隼人の登場にびっくりする仁たち
「おはようございます」と消えそうなくらい、小さなかすれた声で挨拶する隼人
仁「役者なんだから腹から声出せよ〜」とつっこみ「いつもそんな登場曲あったっけ?」と隼人に聞く
大袈裟に首を振る隼人に「今日からか〜」と仁
びっくりしている3人に仁は「風祭隼人」だと伝える
ざわつく3人に「本名だからこわいだろ〜」と3人の心の声が聞こえたかのように彼が名前までパンチがある事に触れる。
「ほら、かえで!かっこいいだろ?」と言うが
かえでは「サングラスで顔見えないし」と答える
すると隼人はサングラスをはずしかえでと智子に「ヘイ!ガールズ!」と挨拶をしズボンの後ろポケットからブロマイドを出し2人に渡す
引いているかえでと智子に
「ほら、ブロマイド!もらってあげて」と声をかける仁「今時ブロマイドって…」と言いつつ受け取ろうとすると隼人はブロマイドから手を離しヒラヒラ床に落とす
2人は悲鳴と共に「なんなのこの人」と言い後退りする
「ほら、なつみちゃんの相手だよ」と隼人はなつみの彼氏役をさせる為に呼んだと伝える。
そして「もう1人お願いしてた人は?」と隼人に聞く
隼人は指をパチンと鳴らしラジカセをつける
♪〜 薔薇は美しく散る
するとまたとんでも無くキャラの濃い真っ赤なフラメンコドレスを着た女性が事務所に入ってくる。
これには仁もびっくりした様子で全員引いている
隼人とその女性が踊り終わると
「私は!劇団花と夢主宰 草吹雪 美麗!」ととんでも無く大きな声で自己紹介する
草吹雪 美麗 ( くさふぶき みれい)*3
えっまた凄い名前…絶対売れないじゃんとざわつく4人
「芸名です!」と答えると
良かった…と安堵する4人
てか、大丈夫?この人に服部さんをたぶらかす役が出来るの?とコソコソ話す4人
「ご心配なく!草吹雪美麗が最も得意とする演技ですから」
「てかなんでこの人たち自分の名前いちいちフルネームで言うの」「名前を覚えて貰う為じゃないか?」
美麗「演じる場所が帝国劇場でも」
「オスカル!!」
隼人「アンドレー!!」
「下北OFF OFFシアターでも」
「「ありがとうございましたー」」
「全力で演じるそれが草吹雪美麗の演劇イズムですから!」
「帝劇では絶対やってないよね」「たしかに」とかえでと智子が笑い合っている
「しかも OFF OFFシアターって?w」いつもやられてるとこなんじゃない?と仁がフォロー
突然歩き出す美麗は身だしなみを整え
ソファに座る花岡の元に行くとヒールで花岡の太ももを踏み胸元からチケットを数枚取り出す
「痛えよ!なんだよこれ」
「劇団花と夢 第二回公演 王様とバラとYシャツと私のチケットです」
「結構立ち上げたばっかなんだな!絶対つまんないだろ」とつっこむ花岡「みんなで観に行きます」と答える仁に「え?私たちも?!」と騒つく智子たち
花岡に手を差し出す美麗
「なんだよ」「チケット代一枚6500円です」「チケット代取るのかよ」「ノルマですから!」「お前のノルマなんかしらねぇよ」「あわせて18万…250円」
「高くなってんじゃねぇか!てか端数の250円てなんだよ」「ノルマですから!!」「カードいけるか?」とポケットからクレジットカードを出し美麗に渡す
「払うのかよ」とつっこむ仁
カードを受け取る美麗
「僕も出ますから」と隼人が言うと「じゃあ、尚更みんなで見に行かないとな!」と仁が答える。
智子たちは私たちも?!と騒つく
チケットを確認しながら「俺火曜日しか行けないぞ?一緒に行こう」と仁に言う花岡
「あんたいいやつだな」と言い「一緒には行かねぇよ」と仁
隼人と美麗はいつの間にか下手に2人で体育座りして並ぶ
そこになつみが訪ねて来る。
「あの…昨日13時にまた来てくださいと言われたので」
「あー!なつみちゃん良いところに来たぁー。」
隼人がなつみの元に近づいてきて自己紹介し、かえでたちにあげたブロマイドを差し出す、同じく状況が読み込めないなつみに仁は「なつみちゃん貰っておいて」と声を掛ける。また床に落ちていくブロマイド…「あーもうそのままでいいよ〜」と仁は言い「たけちゃん拾っといて」と頼む。
仁から彼氏役を彼にしてもらう事を説明され「かっこいいでしょ?」と聞かれたなつみは愛想笑いで応える。
それに続いて美麗にも「劇団花と夢主催 草吹雪美麗 以後お見知り置きを」と挨拶され引き気味のなつみ
仁はなつみをソファーに座らせ、自分はスツールに腰掛けた。
「今日は、彼の写真を持ってきたんですけど」となつみは一枚の写真を仁に渡す。
それを受け取り写真を見た仁は、ひとり驚いた様子で席を立つと「ちょーっとお待ちいただけますか?」となつみに言うと「……ちょっと隼人なつみちゃんの相手を!」と隼人に声を掛ける。
「ちょっとたけちゃん!」仁は武に声を掛けると事務所のメンバーは部屋の隅に集まった。
「これ…見て」
「……………………!」驚く武と智子
「この人昨日の…………!」と状況を理解したかえで。
なつみを気にして声を顰め驚く事務所の面々。
すると空気を読まない花岡が「これ、昨日来た男じゃないか!」と大声をあげる
すかさず「アンタ声でかいよ!」と仁
「だってあれだろ、別れたくないっていう依頼できた男」
「しーーーーっ!!!!」
花岡を黙らせ、仁たちはコソコソと相談を始めた。
「もうしょうがないから先に来たなつみさんの依頼を受けて、男性の方はお金返して断ればいいじゃない」と見かねて提案するかえで
仁「…………無理だよ」
か「え?なんでよ?!」
仁「使っちゃったもん」
か「使っちゃったってそんな大金なにに?」
仁「滞納していた家賃3ヶ月分と向こう3ヶ月分の家賃前払い…それから焼肉なんかも」
武「そのあとお腹いっぱいなのに寿司も行っちゃったなー!」
「美味かったなー!」と盛り上がる仁、武、智子。
「お兄ちゃん美味かったじゃないでしょ!どうすんのよ!」
「どうすんだよー!」と花岡も追い討ちをかける。
「アンタまでうるさいよ」と言った仁だが「そうだ花岡さん金貸してよ。あんたお金持ちなんだろ?」と花岡に助けを求める
花「やだね」仁「なんでだよ!金持ってんだからいいだろ?」
「俺は確かに金は持っている。が!断固としてお前に金は貸さん!」と花岡も譲らない。
「それならこいつに全裸で土下座させるからさ!」と智子を売る仁
「ちょっと!なんであたしが花岡さんに全裸で土下座しなきゃいけないのよ!」と反論するがそれなら手を打とうかなとでもいうようなリアクションをしている花岡。
そんな事をしていると里美が事務所に入ってきて
「ちょっとー!お客さんよー!」と声を掛ける
「この方〜」と入口を振り返るが「あれ?」とその姿は見えない
「ほら、昨日私たちの帰り際に来た男性が…」と里美が言う。
仁たちは「「「服部さんだ!」」」とピンと来た様子で一斉に焦り出す。
慌てた仁はソファに座るなつみと隼人と美麗に駆け寄り「なつみちゃん、ちょっと向こうの部屋で練習して来てくれるかな?」
「え?」と戸惑うなつみだがそれに従い
隼人にセリフ合わせをする様に指示、仁は隼人の手をとり、なつみと隼人を奥の部屋に押し出した。
「それなら私は演出を!」と言う美麗の手を引っ張り、強引になつみら3人を自分の部屋に閉じ込めた。
ドアを抑える智子、仁、武、かえでの4人
それと入れ違いに「すいません、電話が掛かって来ちゃって」と電話対応をしていた旨を説明して服部が事務所に入って来た
ドアの前に並ぶ4人はJr.SPポーズ (千秋楽ver.)
「お忙しかったですか?」とその様子を見て聞く服部
仁「いやいや、いつでも好きな時にお越しくださいって言ったじゃないですか〜」と答え服部をソファへと通す
「あの、今日は彼女の写真を持って来たんです」と写真を差し出す服部から写真をパチンと手で挟む様に受け取る。(トトロのメイちゃんがまっくろくろすけを捕まえる様な)
そーっと手をどかしながら写真を確認する仁と
それを後ろから覗き込む事務所の面々
写真を確認し「「「は〜〜〜〜」」」とまあ、だよね、なつみさんだよね、、というリアクションをする仁達。「なんですか?!」というような反応の服部に「いや〜お綺麗な人ですね〜」と咄嗟に仁が言う
すると「あれ、この子なつみちゃ…」と里美が言ってしまいそれを遮るように仁が「里美ー!」と声を上げて「唐突ですけど、服部さん!僕の元婚約者の里美って言うんです〜」と里美を紹介する。「かえでちゃ〜ん!かえでちゃん!」とかえでも呼び「こっちは僕の妹のかえでです」と続けてかえでも紹介する。
それに続いて「花岡光一です」と服部に自己紹介する花岡は右手で名刺を渡すと左手はJr.SPポーズ (千秋楽ver.)
「ちょっとちげーよ!(Jr.SPポーズの手が)」と仁につっこまれる
「ほらかえで〜!里美に話があるんじゃなかったっけ〜!」と何も事情を知らない里美に服部さんとなつみの関係を伝えるように促す
「あぁ💡」と察したかえでは里美をキッチンの方に連れて行く
仁は「たけちゃんこの写真見えないところに仕舞っといて」と写真を手渡し指示する
「人をくっつけなきゃいけないのに僕が元婚約者とこれがこれでね〜」と自分と里美の関係を自虐する仁はセリフに合わせてバレエを披露して決めポーズ
(デジタル会報 左下の写真)
---客席拍手
その拍手を仁の後ろに立っている花岡が締める
👏🏻!👏🏻👏🏻👏🏻!
スツールに座り直す仁
「それで…」と話始める服部に
「なつみさんね〜」と名前を言ってしまう仁
「えっ、なんで名前?!」
「えっ、僕何か言いました?」ととぼける
「今なつみさんって」
「なつみか〜んって!ほら、さっきまでみんなでなつみか〜んについてディスカッションしてたんですよ〜」
「な?たけちゃん!」「あ!そうなんですよ〜なつみか〜んについて」智子にも振り慌てながら話を合わせ、かえでも「なつみか〜んといよか〜んはどっちがいいかー!なんて」
「どう思います〜?」と服部に振る仁 服部「さぁ?」と戸惑った顔
「え、もしかして彼女のお名前なつみさ〜んて言うんですか?!?名前まで素敵だ〜」と誤魔化す仁
「お前それは無理があるぞ〜」と余計な口を挟む花岡
「彼女は国舞なつみと言います。27歳で職業はOLです」
名前を既に知ってる仁たちは「へぇ〜〜」とどこか白々しく相槌する。
花岡がまた「国が舞い上がる〜」と言うと
服部「えっ!なんで分かるんですか?普通こくぶっていったら国分寺の方じゃないですか?」
仁「いやだな〜こくぶって言ったら普通は国が舞うってほうでしょ〜服部さん常識ないな〜」
本題に戻す仁
「服部さん本当になつみさんに振られる心当たり無いんですか?」
「だって服部さんお金持ちなんでしょ?」とかえでが言う
服部「なんでそれを」
かえで「あ、ほら手付け金を置いてったって」
仁「そう!言ったから!」
かえで「聞いたから!」
納得した様子の服部に
「単刀直入に言いますとお金目当てということはないですか?」と仁が聞く。
「そんなはずありません。親が会社を経営してるので、世間的に言えばそう言うこと(お金持ち)になるかもしれません。でもなつみは今でこそ僕の家のことを知っていますが、付き合い始めの頃からデートも割り勘にしようってなつみの方から言われたりして、プレゼントも高価なものは遠慮していました。」
仁「じゃあ、本当は僕みたい人がタイプで服部さんはタイプじゃないってことは?」
「なつみとは3年も付き合ってるんです。今更、僕の事タイプじゃないはずがありません!大体なつみが金山さんみたいな人、タイプだなんて絶対にありえません!」
それを聞き「私変かしら」とコソッとかえでに聞く仁の元婚約者の里美に気づき「あ、そういうわけじゃ」と気遣い頭を下げる服部。
すると隣の部屋から
「じんさーーんこの世界の果てまで行ってドピューってDVD見てもいいですか〜?」と声がし隼人が扉を開ける
すかさず扉を閉めるかえで、智子、武
そして振り向いた服部に隼人を見られないように服部に顔を合わせる仁(にらめっこ状態)
「今、顔見えました?」
「いや、金山さんで全く」
「ですよね」
里美「世界の果てまで行ってドピューってなに?」
「里美さんあのね!」と駆け寄るかえでを
「かえでいいから!」と止める。
「あのDVD面白いよなー!」と花岡
「アンタ見てんじゃねーよ!!!」
仁が服部に向かって「すいませんね、ちょっと別件の打ち合わせをやってるもんで」
服部「あぁいえ」
里美は「あの、服部さん!よかったらなつみさんと出会ったきっかけ聞かせてくれないかしら?」と服部の隣に座る。
勝手な事するなよと言いたげな仁だが服部が話し出す。
「ええ、実は彼女とは風俗のお店で…。なつみがそのお店に勤めていて僕が客として。そこで一目惚れして。あっ!今はもう辞めて、OLっていうのは本当ですよ!一年半くらい前までなつみは風俗で働いていて。何度かそんな仕事辞めて結婚しようと言ったんですが…あ、あの職業差別とかでは全くないですよ」
「でもたしかになんで彼女はそんな仕事…」とぽつりと呟く武
仁「ちょっと、たけちゃん」
「いいんです。僕も最初はそう思ってましたから、でも僕が何度言っても、なつみはいつもどこか煮え切らなくて。いい加減腹が立ってなんでだって問い詰めたんです。そしたら彼女やっと口を開いてくれて、よくある話なんですけど、実は彼女……」
すると服部がハッと何か察した様子で「宇宙人なんだろ!!!!!」と言い出す「最近じゃ人間の格好をした宇宙人がそこら中に居るって言うし!」「いや、よくはねぇだろ!」とつっこむ仁
「……実はそうなんです」と服部が言う。
「そうなの?!??!?」と言うと、驚きのあまり服部から一歩後ずさる仁
沈黙を破るように服部は里美を見てニコっと笑うと「冗談です」っと戯けて言う。
「いや、冗談かよ」「服部さん今のは冗談言う空気じゃないっすよ!」と武が静かに言う。(ちょっとキレてる?)
仁は服部の方にゆっくり近づくと
…バシッと服部の頭を叩く
「…?!」びっくりする服部
「ああああああっすいません!服部さんが余りにも…だったんでつい…」
服部も「すみません!!!あんまり暗い空気だったから冗談でも言った方が良いかと思って」と頭を下げる
仁「やだな〜そんな気を遣わないでくださいよ〜」
服部「実は彼女、親一人子一人でそのお母さんが病気で入院していて、それもお金のかかる病気だったんです。僕はお金の援助もするから仕事辞めて結婚しようって言ったんですけど、なつみはそんな事しなくていいって譲らなくて。でもそのお母さんも一年半前に亡くなって。なつみはやっと気持ちの整理もついて、仕事も辞めてプロポーズを受けてくれたんです。」
明の話を一通り聞いた仁は「じゃあ、その理由調べてみますんで。」と明に言う。
服部「ありがとうございます!」
仁を部屋の隅に引っ張り「ちょっとお兄ちゃん大丈夫なの?」と言うかえでに続いて花岡も「お前がそんなにいい加減なやつだと思わなかった。お前みたいなやつに里美さんは渡さんからな!」と言う
その様子に気付いた里美が「ちょっと何話してるの?」と話しかける
咄嗟に「あぁいや俺に何か協力できることはないかなー?なんて」と誤魔化す花岡
里美「なーに?いつの間に2人そんなに仲良くなってたの?」
「もうすっかりマブダチですよ〜!なぁ、かーなぶーん!」と仁と肩を組み戯ける花岡
「だれがカナブンだよ!」
「じゃあ僕はこれで」と告げる服部
「あっはい!なんかわかったら連絡しますから」
「よろしくお願いします!」
「じゃあ、たけちゃん!」と合図し
「あ、これ昨日の領収書です」と武が服部に渡す。
武と智子がまた床に膝をつけてお見送りをしようとすると「あの…もうそれはやめて下さい…」と断る服部
明が帰り、隣室で台詞合わせをしていたなつみ達を事務所に呼び戻す。
「なつみちゃん隼人とセリフ合わせ出来た?」と聞く仁に
「それが…」とどこか不安そうななつみ
これは台本じゃなく気持ちで演るもんだと隼人。
なつみの依頼にどこか違和感を感じでいた里美がなつみに本心なのかと問いかける。
「ごめんなさい!!!」と頭を下げるなつみは続けて
「本当は私…金山さんの事、全然タイプじゃないんです!!」
なつみの言葉に鳩が豆鉄砲を食ったような表情で「ちょっとお待ち下さい」立ち上がった仁はそのまま歩き出し自分の部屋に入った。
「ウソだーーーーーーーーー!!!」部屋から仁の叫び声が聞こえる。
ドアが開くとスンっとした顔で部屋から出てきた仁は何事も無かったかのように座っていたスツールに座り直すと
「なつみさんそこは強く強調しなくていいんだよ?」と言う
「ごめんなさい!!!」ともう一度謝るなつみに
「謝られた方が逆にね?」と言う
依頼はなつみの本心?なのかと聞き直し確信に迫る里美
「なつみさん本当にいいの?相手はお金持ちの社長の息子なんでしょ?」とかえでがなつみに言う「それ言っちゃ…」と武、智子はかえでを止める。
「なんでそれを?私…そんな事」とびっくりしているなつみに
「実家が お金持ち」って聞けばそれくらい分かりますよ〜と誤魔化す仁
「そうなんですね 」と納得するなつみに
「本当あなたいい子ね」と里美が言う。
「3年も付き合っていたのに、親に反対されたからって別れるの?」と言葉を選ばないかえで
「それもですか?!」とびっくりするなつみ
「すごいでしょ〜僕の調査能力ね〜」と誤魔化す仁
「はい…あの、実は私、一年半前まで、風…」
「あっ!なつみちゃんそれもこちらで…」となつみが直接職業を口にするのを止めてあげる仁
♪〜 心の宝物
「彼のお父さんもそれを調べたみたいで。彼のお父さんに別れてくれって言われたんです。私仕事のことは割り切っていたつもりだったんです。でもそう言われてやっぱりどこか後ろめたさがあって。」
「彼にその事は?」
「言えません」彼女は涙ながらに話す。
「それは……彼の夢は今の会社を大きくすることなんです。(会社を大きくして社会の役に立つんだって」
「…………」
「でも……彼は両親に反対されたら家を出て私と結婚する道を選ぶと思います。そういう人なんです」
里美「素敵な人じゃない」
「すごく誠実だけど、それでも、いやだからこそ別れたいんです」
仁「話は分かりました。なつみちゃんもう一度聞きます本当にその男性と別れたいんですね?」
「はい、だから別れたいんです。」彼女は決意したようにそうはっきりと答えた。
涙ながらに語るなつみの話をじっと聞いていた仁はきっぱりと顔を上げた。
「なつみさん、この依頼、正式にお受けします!」
♪〜 Rope-a-Dope / quasimode
------- 暗転
ここはこんなセリフでした!というご協力を切実に求めております🙇🏻♀️こちらにお願い致します(匿名メッセージですのでどなたでもお気軽にメッセージください)
こちらは個人的な備忘録であり、キズ絆関連の一切の権利は劇団ノーティーボーイズ様に帰属致します。
「無断転載」は禁止です。
キズ絆 備忘録 - Scene1-
ご覧頂きありがとうございます。
こちらは個人的な備忘録であり、キズ絆関連の一切の権利は劇団ノーティーボーイズ様に帰属致します。「無断転載」は禁止とさせて頂きます。ブログのトラバ/引用、TwitterなどSNSでの拡散は歓迎です。*1
いきなりざっくりになるところ、至らない点もありますが、温かい目でご覧いただければ幸いです。
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
舞台は松尾龍くん演じる主人公 金山 仁(かなやま じん25歳)が経営する金山探偵事務所。
ステージ下手(左) : キッチンのある部屋
(部屋の角🚪): トイレ
ステージ中央 : 仁の部屋のドア
ステージ上手(右) : 事務所の出入り口
♪ 〜 You've Got To… / The Young Punx
真っ暗な事務所に鳴り響く電話の音
「痛た…」と何かを痛がる女の子の声。事務所の電気が点くと、お腹を押さえて腹痛に苦しむ様子の女の子の姿。彼女はお腹を押さえて前屈みになりながらも慣れた様子で一目散にトイレに向かおうとする。が、鳴っている電話を見て見ぬフリ出来なかった彼女は手に持っていた郵便物と思われるハガキを乱雑したデスクの上に置くと「はい、金山探偵事務所です」と電話に出た。
「浮気調査ですね〜。はい、大丈夫ですよ〜。」と優しい声で受け答えながら誰かを探している素振りでドアの方を気にしている。「料金ですか?!」と少し慌てた様子で乱雑したデスクの上にあるはずの料金表を探すが見つからない。
「少々お待ちください!」と受話器を置くと腹痛に堪えながらも隣の部屋に料金表を探しに行こうとする。
「はっ!!!、保留…」と勢いよく電話の方を振り返り彼女は保留を押さずに受話器を置き電話を切ってしまった事に気付く。
どうする事も出来ずにそのままお腹を押さえトイレに駆け込む。
もう一度鳴り響く電話の音
「あれ仁〜??」
電気がついているのに電話が鳴りっぱなしな事を気にした様子で、名前を呼びながら事務所に男性が入ってくる。
彼はこの事務所の調査員 西脇武(愛称たけちゃん25歳)*2
そして電話が切れる前にと急ぎながら「はい、金山探偵事務所です」と電話に出た。
電話の相手は"女性に"電話を切られたと怒っている様子。
女性…?と心当たりを考える武だが、ひとまず謝罪をし要件を聞きはじめる。
「浮気調査ですね〜はい、料金は…ちょ〜っとお待ちくださいね」と保留にせず乱雑したデスクの上に電話を置き奥の部屋に料金表を探しに入った。
そこに「おはよ〜」と今度は女性が事務所に入ってくる。
彼女もまたこの事務所の調査員 高野智子(愛称ともちゃん25歳) *3
「あれ?誰も来てないんだ?じゃあなんで電気?…ま〜た仁が消し忘れぇ〜?」
ソファに仁の脱いだ服が放置されてることに気付き
「はぁ〜もぉこれもかよぉ?ほんっとだらしないなぁ!」と、愚痴をこぼしながらも服をハンガーポールに掛けるとデスクに置きっぱなしの受話器に気がつく。
「これもぉ?!ほんっとだらしないんだからぁ!」と力強く受話器を在るべき場所に戻す。
再び鳴り響く電話の音
彼女は電話の方を振り返り、小さく咳払いをするとよそ行きの声で電話を取る。相手はまた電話を切られた事に怒っている。「そうだったんですね〜申し訳ございません!浮気調査ですね!料金は〜ちょっとお待ち頂けますか?」と彼女も料金表を探す。
「すんごい怒ってんじゃん」と電話の相手に驚きながら、彼女もまた保留にせず電話をデスクに置き武の入って行った部屋に料金表を探しに行く。
奥の部屋で「武来てたんだ!」『料金表探してる!』「私も!」とやり取りが聞こえる。
自分の部屋から欠伸をしながら事務所に入ってくる仁
「あれ?誰もいないの?(点いたままの電気)あのふたりまた付けっぱなしかよ。ちょっと電気代〜😤」
ここは事務所 兼 仁の自宅
寝起きの仁はTシャツに腕を通しながら階段を降りてきて、智子が掛けてくれた黒シャツを手に取り羽織る。ムーンウォークにアクロバットそれからバレエを披露 (たつるくんの特技盛り沢山)
---客席の拍手
👏🏻!👏🏻👏🏻👏🏻!と拍手を締める仁
「完璧だ!」
壁にかかった鏡で身だしなみを整え
「いつもの行きますか!
そうさ〜センセーション(歌唱)
Jr.SPっていいよな〜」(千秋楽ver.)
---客席の拍手
👏🏻!👏🏻👏🏻👏🏻
仁も智子がデスクに置いたままにしてある受話器に気付く。
受話器に向かって「いい加減にしろよ!!!」と2人への鬱憤をぶつけるように電話を切る。ソファに腰掛け机に置いてあるハッピーターンに手を伸ばそうとすると
再び鳴り響く電話の音
ハッピーターンに伸ばしていた手を引っ込め電話に向かい「はい、金山探偵事務所です」と出た仁は咄嗟に受話器を耳から離す。
「あのぉどちらにお掛けで…?いや〜なんでそんなに怒ってるのかなぁと思いまして…もういい!じゃなくて… クソガキ?!あぁ?クソガキってなんだ!これは童顔て言うんだよ!大体見てもねえのにクソガキって25歳だよ!なんだよ切りやがった!」
受話器に向かって「クソババアー!!!!!」と叫び受話器を乱暴に置く。
そこに料金表を持った武と智子が戻ってくる。
「あ、たけちゃん来てたんだ!ともちゃんも!」
『あれ?電話!?』
「あれはキャーおばさんだな」
『キャーオバサン?』
「なんだともちゃん、キャーおばさん知らないの?
キャーって言いながら向かってくるの」
『仁そのおばさんと話したの?』
「話したよ。電話が鳴ったから出たらいきなりキャーって」
『え?電話鳴ったの?』
「何を言ってんのかなぁ、ともちゃんは?普通電話は鳴るもんでしょ」
『そうじゃなくて!電話!そこ(デスクの上)に置いてなかった?』
「あぁ!あったよ!だからそれをこうしたんでしょ(受話器を戻すジェスチャー)」
2人「「 切っちゃったーーーー」」
「え?何で保留にしないの?」
『だってすぐだから』
「すぐじゃないだろ?だって俺、色々…やったよ?(先程のアクロやバレエのこと)」
武「何してたの?」
仁「昨日Jr.SPのライブ行ったから〜!そうじゃなくてどうして保留分からないかな?ここ押すだけだろ?あれか2人は未開の国から来たデブとデコなの?」
2人「「 違うよ 」」
「違くはねぇだろ!デブとデコだろ!普通押すだろぉ〜?そして置くだろ〜?そしてエリーゼのためにが流れるだろ〜」
タラララララ タラッタ〜と歌いながら舞う仁🩰
武「あ〜はいはいはいはい分かりましたよ、次から保留押せばいいんだよね。ともちゃんも分かったよね?」
智子も面倒くさそうに「はぁ〜い」と答える
「え、嘘だろ…開き直ってんの?その反応、開き直ってるよね?だいたい、ここのボスは俺だよ?そのボスに対してその感じはなんだろ〜?」
智「あいつ何言ってんの?」と武にコソコソ言う
仁「それだよー!2人のその、そこかしこに漂う不満の色がそれを如実に物語ってんだよ!いいからお前ら、そこ座れー!」2人をソファに座らせ説教し始める仁
「いいかー?お前らが保留を押さなかったことによって何十万の仕事がパーだ!何座ってんだよ!立て!座れ!立て!座れ!もーっと座れぇ!(千穐楽ver.)立て!」合わせて立つ座るを繰り返す2人
「その上、俺は寝起きで訳も分からず見ず知らずのおばちゃんにいきなり怒鳴られてクソガキ呼ばわりされてガチャ切りだぁ!」
武 「え、おばちゃんそんなこと言ったの?」
智「見てもないのに?」笑い合う2人
そんな2人に気付いていない仁は続け様に「幸い俺が全っっくクソガキっぽくなかったからいいものの、これがクソガキっぽかったら大変なことになるよ〜?でもまぁ、おばちゃんの気持ちは分からんでもないよ〜。自分の旦那が浮気してるんじゃないか〜?相手はどんな女だろう?って不安で不安で仕方なくて意を決して電話して来たと思うんだよ。それなのにいきなりガチャ切りされてみろ〜。そりゃ怒るよ〜。俺みたいなダンディーな男に向かってクソガキって一言言ってガチャ切りしたくもなるよ〜。」「ガチャ切り返しだあ!!!」と言うと2人の方を振り返る。苦笑いの2人
智「てかおばちゃんガチャ切りされたの一回じゃないしね!」それ言うなよみたいな顔で焦る武
なんだよそれ?!という仁だったが、
「たしかにあれは、一回ガチャ切りされた人のテンションじゃなかったな(笑)もうキャーーーーーーーーって(笑)ともちゃんはどんな感じだった?」
「ギャーーーーーーーーー」立ち上がってオーバーに騒ぐともちゃん
仁「ちげーよ!もうキャーーーーーーーーって!」
立ち上がって走りながら(1/20のISLAND TVの最後の走り方みたいな)
「ってそうじゃなくて!!!」と我に帰る仁
武「そういやおばちゃん、変なこと言ってたんだよなぁ🤔俺の前に女の人が電話に出たって」
仁「女の人って…じゃあともちゃん?」
智「いや、私は武の後に来た!」
仁「じゃあ、おばちゃんここにかける前に間違い電話でもしちゃったんじゃないの?」
武「でも確かに金山探偵事務所って言って出たって言ってたよ」
智「じゃあ誰?!なに女の霊とか?」
仁「こんな昼間に霊?霊が部屋の電気つけて、電話に出る?」
武「それは幽霊への固定観念だよ!霊だって元は人間なんだから暗かったら電気くらい付けるだろ。誰だって暗いのは、いやだからね〜」
仁「たけちゃん、やけに幽霊の肩待つじゃ〜ん」
智「もしかして仁、幽霊怖いの?」
仁「い〜やぁ!そうじゃなくてもっと泥棒路線を疑った方が現実的だろ!実際にピッキング被害だってあるんだし」
武「でもこのビル古いとはいえ、こんな繁華街のド真ん中にあるのに家賃安いと思わないか??」
智「たしかに〜」
武「そういえば3階のゲーム喫茶のマスターがこのビル出るって言ってたんだよ」
智「あ!それ私も聞いたことある!」
「いや〜あそこのゲーム喫茶よく出るんだよね〜ロイヤルストレートフラッシュが」と誤魔化す仁に武がマスターから聞いた事を話しだし、智子も一緒になって仁を怖がらせようとする
♪〜 心理 / 菅野祐悟
20年くらい前このビルには風俗があったが、火事になり働いてた女の子が巻き込まれて亡くなった事を話す。
武「ほらこのビル消防法もへったくれもないだろ?火事になったら逃げるところもない。その子は良いとこのボンと付き合ってて婚約までしてたらしいんだけど婚約破棄されて、それで女の子が夜お店に忍び込んで自らお店に火を付けて焼身自殺、相手の男も後を追って飛び降りた。その子はトイレに逃げ込んでトイレの水を被ったらしいけど、トイレの中で焼きただれて亡くなってたのが見つかったって。その女の子の霊が昼夜を問わず今でも…そしてその風俗があったっていうのが…ここだー(探偵事務所)そしてそのトイレっていうのが…(事務所のトイレを指差す)どうするぅ〜トイレ開けちゃう〜?(煽る武)』
ずっとビビってる仁「や、やめて…」
するとトイレの中から『暑〜!』って声が聞こえて女の子が出てくる
「「「「キャーーーーー」」」」
女の子も悲鳴を上げ、3人はびっくりして腰を抜かす
生まれたての仔馬のように四つん這いになって逃げようとするが壁にぶつかって外に出られない仁
「でれない でれない にげれない〜」
トイレから出てきたのは仁の妹 金山かえで(大学生)*4
仁「…かえで?!いつからいたんだよ!俺ら結構ここにいるよ?」
か「いつからだっていいでしょ」
仁「お兄ちゃんびっくりして生まれたての仔馬みたいになっちゃったじゃんか!てか暑〜ってなんだよ」
か「そりゃ暑いわよあんな窓もないところで絶え間ない腹痛に耐えてたんだから」
仁「てか、長えだろ!」
武「うんこだ!」
か「ちょっと女性に向かってなんてこと言うの!」
仁「じゃあ、電話に出たってのはかえで?」
か「そうだけど 間違えて保留押さずに切っちゃったの」
仁「お前勝手に電話に出るなよ!出るなら保留押せるようになってからにしろよ!てかお前ら赤青黄って信号機かよ!?あ〜お前らあれか?押せない者同士共同戦線でもはってるんだろ?
押せない戦線異常なし(`_´)ゞってか?」
か「お兄ちゃんおじさんみたいで説教くさいのよ!今年の8月で21歳になりますぅ!みたいな顔してるくせに」
「とっつぁん坊やなんじゃない(笑)」「本当は中坊とかなんじゃないですか〜?」子供扱いされて武と智子にまでおちょくられる仁
仁「やめろよ!正真正銘25歳!妹のお前までお兄ちゃんにそんなこと言うなよ!保留なんてボタン押すだけだろ?難しい事なんてないだろ、受話器をとって、そしてここのボタンを押す。フェザータッチでいいんだよ〜」
まだ説教くさい事を言っている仁を武が後ろから持ち上げるとそのままソファまで運ぶ(バレエのリフトのように)
か「大体こんな昼過ぎまで事務所に誰もいないのがいけないんじゃない!」
仁「たけちゃんはなんで来てなかったんだよ?」
武「俺は早く来ようと思ってたんだけど、今日は向かい風が強くて」
か「それはしょうがないわね。」
仁「しょうがなくねぇだろ!だいたい向かい風が影響するような体型じゃねぇだろ」
武「向かい風が当たる面積が広いから!」
仁「ああ、たしかに。」と何故か納得し、ともちゃんにも聞く
智「わたしは寝坊」
仁「潔いなぁ!」
か「お兄ちゃんこそ、ここに住んでるんだから早く来れるでしょ?」
仁「お兄ちゃんはこの事務所のボスとして昨日も夜おそ〜くまでものすご〜く忙しかったんだよ」
か「なにがものすご〜くよ!どうせ遅くまでエッチなDVDでも見てたんでしょ!」
「かえではお兄ちゃんを冒涜するのが得意だぁ」と言いながら隣に座っているかえでを腕で小突く仁
するとかえでは自分が事務所に入ってくる時に手に持ってた郵便物のハガキを仁に見せる
「TSUTAYAから延滞金のハガキ来てたわよ!」
「え?なんか借りてたっけ…」
「…世界の果てまでイッてドピュー ?ばっかじゃないの?」タイトルを聞いて思い出した顔の仁
「いや、俺は世界の果てまでイッテQを借りに行って!あったと思って借りて帰って見てみたら 世界の〜果てまで〜 イッて…ドピュー ってwww紛らわしいっていうかトンチが効きすぎたよな〜w」武と顔を見合わせ笑う
智「ていうか今時ネットでいくらでも見れるのにAVレンタルする人なんているんだwそういうところも顔に見合わずおっさんだよね〜。そうすればこんなハガキでバレる事もなかったのに」
武「たしかに」
「お前らクビにすんぞ!」と脅す仁に対して、それだけは!!と焦った反応の武と智子にかえでは「2人ともその方がいいわよ!だってお給料だってちゃんと貰ってないでしょ?」と言い
武智子も「そうなんだよ〜」と悲しそうな顔で同情を求め、仁の周りから離れていく
仁「てか勝手に人の郵便物見るなよ!大体かえでは何しに来たんだよ」
か「待ち合わせ!」
仁「勝手に待ち合わせに使うなよ!ここはお兄ちゃんの事務所だぞ!」
かえで「いいでしょ!どうせ暇なんだから」
武「待ち合わせって男の人?」
か「女の人!」それを聞いてホッとしたような表情の武と おっ!というような表情の仁は「かえで〜その女性っていうのは綺麗な人?はたまたその子に綺麗なお姉さんがいたりとかぁ…かえでのせいで仕事がパァになった訳だしその綺麗な人をお兄ちゃんに紹介して埋め合わせっていうのは…」
か「はぁ何言っての?大体この前私の友達の仕事紹介してあげたじゃない!」
武「あ!あ〜あの盗聴器の!」
仁「あ〜!あのいかにも盗聴器はありませんっていう顔の!○○フェチとか○○専にも分類されないような、そこはかとな〜く嫌な感じ。俺は盗聴器を仕掛けたやつに聞いてやりたいね!
おい貴様ァ!お前は一体全体何マニアなの?って!」
か「ちょっと!私の友達になんて事言うのよ!」
智「さいって〜」
か「いい歳してそんな子供みたいなこと言って」
仁「お兄ちゃんはいつまでも少年の心を持っているだけさ」
か「りえは盗聴器二個も見つかったって言ってたけど?出張料5万!盗聴器一個につき5万全部で15万払ったって!」
武「いやさ、最初はないな~って思ってたんだけど、探したら、あるもんだね〜…何マニアかは…知らないけど」
仁「かえで!これは安心料だよ!だって盗聴器があるって不安な人にありませんでした〜なんて言ってみろ!だったらここにもありました〜!(テーブルの下にあったと見せかけてポケットから出した盗聴器を見せるフリ)ほーらこんなところにも!(とスツールの裏にあったと言うようにポケットから出した盗聴器を見せるフリ)これで盗聴器はありません!って言った方が誰だって安心できるだろ〜」
そこに女性と男性が事務所に入って来る
女性「かえでちゃんそんなんに騙されちゃダメよ!仁もまだそんなことやってるのね」
武智子「「里美さん〜」」
里美「たけるくんこんにちは!智子ちゃんも」
武「たけしっす〜😅」「里美さんお久しぶりですね」
仁は適当にデスクの上をいじりなるべく空気を消すように女性に背を向けている。
「仁も久しぶりね!元気だった?」
その声に気まずそうな雰囲気で振り向くと「待ち合わせって…」とかえでに視線を向けつつ言葉を濁す。
か「そう!里美さん!これから一緒に買い物に行くの」と里美のところに嬉しそうに駆け寄る。2人の姉妹のような仲の良さが伺える。
仁「里美も、勝手に待ち合わせ場所に使うなよ」
里「いいでしょ〜別に!私もたまには元彼の顔も見たいし!」
彼女は仁の元恋人で婚約者だった 里美(28歳)*5
気まずい顔をしている仁。その様子を見て気を遣って武が「俺お茶淹れますね!」とキッチンに向かう。
里「たけるくんありがとう」
武「たけしっす〜😅」
「私も手伝う!」とかえでが続く。
勘が鈍い智子に「おい、何やってんだよ!お前も手伝えって!」と武が呼ぶ。
智子は仁と里美を順番に見てハッとしてキッチンに向かおうとする。里美と2人にされるのが気まずい仁は智子がキッチンに向かうのを阻止するが交わされる。
「おい何人でお茶淹れるんだよ!買い物行くんじゃなかったのよ!早く行けよ!」とキッチンに向かって叫ぶ仁は気まずそうな顔のまま里美の方を振り返る。
「あのぉ、そちらに立ってるニコニコした男性は〜?」と聞く
里「あっ!ごめんなさい!忘れてたわ!彼は輸入代理店の花岡さん。」
花岡光一(はなおか こういち 45歳)*6
「どうも花岡光一です」と名刺を差し出す
それを受け取り、乱雑したデスクの上の自分の名刺を探し始める仁の後ろ姿に「仁の名刺なんていらないわよ〜!」と声をかけ「ねぇ花岡さん?」と同意を求める里美
花「えぇ!」
まさかの答えに「えぇ?」とびっくりした顔で振り向き花岡の言葉を復唱する仁
「君の事は里美さんから色々聞いてるよ!金山仁さん素敵なお名前だ〜。きっとご両親が金の出る山を〜」
仁「いや!苗字だから!!親父も金山ですし」
里「花岡さんには仕事のことでいつもお世話になってるの!」そうなんだと頷く仁
花岡「やだな〜里美さんお世話だなんて!僕は好きでやってるんですよ!好きっていうのはそう言う好きじゃないですからねー!」と仁に向かって強調する。
花「実は今度、里美さんが青山の骨董通りに雑貨屋をオープンするんですよ!」
里「小さい雑貨屋さんなんだけどね」
花「なーに言ってるんですか!立派なアンティークショップじゃないですか!」
里「花岡さんが協力してくれるからよ」
花「そんなことないですよ。だけど僕に出来る事なら協力は惜しみませんよ〜」
里「ありがとう」
花「僕は里美さんのためなら火の中水の中…」と言っている花岡を遮るようにキッチンからかえでの声が聞こえる。
「里美さんちょっといいー?この腐れキッチンどこになにがあるのか分からないの〜」里「全くしょうがないわね〜。たけるくん達も分からないの〜?」(呆れ顔で仁を見ながら)
花岡さんと2人きりになる。
仁「あぁどうぞ良かったらこっち座ってください」とソファを指す
花(突然大声で)「里美さんてステキだなぁ!」
仁(引き気味で)「そうすかね…」
花「婚約してたんだろ?里美さんから君の話は聞いてるよ!なんでも昔付き合っていて学生ながらに同棲までしてたっていうじゃないか。なのに別れたって里美さんみたいな素敵な女性、学生風情には荷が重かったか?っておい!お前5年前っていくつだ?16歳ぐらいじゃないのか?今年の8/4で21歳になるみたいな顔して…」
それを遮るように「日付まで断定しなくていいから!今年25歳だから!」と仁
花「かえでちゃんも可愛らしい妹だな!よく里美さんのところに遊びにきてるよ!ってお前もカワイイな!?!肌もツヤッツヤじゃねぇか!」仁のほっぺを触る
仁「やめろって!!!」
花「お前に俺の秘密を教えてやろう」
「いいよ!大体初対面の相手に重すぎるだろ!」という仁に半ば強制的に胸ポケットから一枚の写真を出すと顔の目の前で見せつけた。
「なんだよこの写真、てか近えよ!距離感おかしいんじゃねぇのか!」
「お前バカか!ここだよ!ここちゃんと見ろよ!」
「なんでいきなり命令口調なんだよ!」
「いいからここ見ろよ!ここだよここ!」
「え?これってもしかして里美ですか?」
「そうだ!スタバのところから撮った!」
「もっとやりようがあるな〜」
そこにお茶を持った4人が戻ってきて「すっかり打ち解けたみたいね」とソファでやりとりしてる二人を見て里美が声をかける
「もうすっかり意気投合ですよ〜」と花岡
仁が淹れてくれたお茶を手にして一息つこうとすると
「じゃあ、行きましょうか!」という里美に続いで
「じゃあ僕、車回して来ますよ!」と花岡も立ち上がり仁を残し5人は出かけようとする
その流れにびっくりする仁は 「飲んでってぇ!!!!」と呼び止める
その声に振り返る5人
思わず立ち上がる仁「飲んでってぇ!こんなにお茶ばっかどうすんだよ!大体なんで2人も行こうとしてる訳?仕事してぇ!」どさくさに紛れて一緒に買い物に行こうとしていた武と智子を引き止める。
智「仕事なんてないじゃ〜ん」
仁「これからあるかもしんねぇだろ!ほら電話番でもしとけよ」
里「さっさと飲んで行きましょ!」
それぞれ席についてお茶を飲み始める。
「ここに入りまぁ〜す」とソファに座る仁と里美の間に入ろうとする花岡さん。
「アンタはそっち座れよ」とスツールを指す。
そこに1人の女性が事務所を尋ねて来る。
「あの〜金山探偵事務所ってこちらですか?」
仁は武に女性を中に招き入れるよう指示する。
女性は手に持っている新聞の切り抜きを見せ、それを見てここを訪ねて来たと伝える。そこには "後腐れなく別れさせます"という産業広告の文字。
女性はソファに案内され、左から
ともちゃん、かえで、女性、里美 と座る。
座るところがなくなった仁はかえで達に
お前らそっち座れよと促すが
「いいでしょ別に」とあしらわれる。
「あの〜私大丈夫です」
ソファに座っている女性もそう言い仁を見上げる
「そうですかぁ〜?」仁は少し嬉しそうにそう答えるとギュウギュウのソファに腰掛ける。
ともちゃん、かえで、仁、女性、里美‥‥しばしの沈黙を破る仁「お前らやっぱりあっち行けよ!!」
かえで「大丈夫よ!」仁「何が大丈夫なんだよ!ほら見てこれキッツキツ!」女性「私も大丈夫ですよ」かえで「ほ〜ら彼女もそう言ってるし」
「そ、そうですかぁ〜」女性と肩がピッタリくっついていることにやっぱり少し嬉しそうに、そう答えた仁は武からノールックで自分の名刺を受け取り自己紹介をして、その女性に渡す。それに続いて調査員の武と智子も自己紹介をする。
「調査員の西脇 武です」「同じく調査員の高野智子でーす!」
「妹のかえでです!」「私は仁の別れた元婚約者の里美です」「花岡光一です!」仁「アンタはいいだろ!!
武からバインダーも受け取り女性の話を聞き始める仁
仁「お名前を聞いていいですか?」
女性「国舞なつみ(こくぶなつみ)*7です。27歳でOLをしています。」
仁「こくぶっていうのは国分寺のこくぶ?」
な「いえ、国が舞うって方で」
花「それはご両親が国が舞い上がるようにって…」
仁「名字だから!だまってて」
「で、これ見て来たってことはやっぱり?」
な「はい」
仁「そうですよね、んで…」
それを遮るようなタイミングで里美がテーブルの上のハッピーターンが入ったカゴをよかったらどうぞとなつみに差し出す
な「あぁ、ありがとうございます」
仁「で、これ…」
か「ハッピーターン好きですか?」「えぇ。」と頷くなつみ
仁「僕も結構好きなんですよね〜」世間話に乗るが話を聞きたそうな仁「で、まず…」
智「粉いっっぱいついてるのが美味しいんですよね〜?」さらに話を広げる智子
仁「魔法の粉なんて言ってね〜!で、これあの…」次こそはと話を聞こうとする仁
花岡「どれ食べます?」
「うるさいよー!喋れないだろ?!ってかなんだよそのカワイイネクタイ💢」
花「羊のショーン!!!」仁「知ってるよ💢」いじって貰えて嬉しそうな花岡さん👍🏻とキレる仁
仁「お前らも静かにしろよ。で…」
な「はい、彼と別れさせて欲しいんです」
仁「それはつまり、その彼っていうのは交際相手ということでいいですか?」
な「はい、実は婚約者なんです」
里「まぁ!」
か「婚約者?!」と驚くみんなをよそに
「あー!これ粉いっぱいついてますよ」と花岡が口を挟む。
「あんたもう帰ってくんねーか?」仁がそう言い花岡さんの手を叩くと持っていたハッピーターンが入り口の方に飛んでいく
それを取りに行きまた戻ってくる花岡
仁「戻って来んなよ!」
武「でもさ、婚約までしてとなるとかなり慎重にやんないと面倒なことになるよ」
里「理由はなんなの?」
か「聞きたーい!」
みんなが話を聞こうと静かにしているところで花岡がサクサクサクと音を立ててハッピーターンを食べる
みんなが花岡を見る。その視線に気付いた花岡は続けてくださいと手で合図する。
な「タイプじゃないんです」
サクサクサクサク…
また花岡に視線を向けるみんな。
申し訳なさそうに音を殺し飲み込む花岡
もう一度言い直すなつみ
な「彼全然私のタイプじゃないんです」
里「あなたかわいい顔して思い切ったこと言うのね!」
かえ「じゃあなんで婚約なんてしたの?」
な「彼お金持ちだから。大きな会社の御曹司なんです。最初はなんでも買ってくれるしいいかなって思ったんですけど、やっぱり結婚ってなると…」
花「いや、経済力は大事ですよねー?」と里美を見て言うと仁にも視線を向ける。
智「どこが嫌なんですか?」
な「どこがって…別に性格も悪くないし、見た目も誰が見ても好青年って感じで。お父さんの会社だけど仕事も真面目にやってるし」
武「問題ないじゃないですか」
みんなもうなずく
な「タイプじゃないんです」
花「そんなこと言ってられるのは若いうちだけだぞー!」となつみに向かって大きな声を出す。
仁「だまってろってー」
里「なつみさんはどんな人がタイプなの?」
な「私本当は顔がシュッとしてて、年齢の割には若く見えて、でも内面は男らしい金山さんみたいな人がタイプなんです!!」それを聞き驚くかえでと智子 どこか少し嬉しそうな表情の里美
仁のような人がタイプだと言われ満更でもない顔
仁「ハッハッハ。まいったなー。まぁ確かに、僕はそうゆう一面も兼ね備えてはいますけどね。」
花「僕はタイプじゃないな」
仁「全っ然かまわない」と花岡に首を振る
その言葉を聞き腹を括ったように仁はなつみの手を握り見つめ合って
「なつみさん!そう言うことならこの案件お受けします!」
「どういうことだよ」とざわつく4人
「僕に任せてください!なつみさんを悲しませるそのフニャチン野郎の魔の手から必ずや救い出しますよ!」
「そんな悪い人じゃないけど」とつぶやく武
「ありがとうございます!お金はいくら掛かっても構いません!」
「なつみさん!そうは言っても、うちはとってもリーズナブルですから」となつみの耳元で言う仁
盗聴器の案件15万もとったくせにと呆れた表情のかえで
「そしたらなつみさん!明日13時にまたここに来てくれますか?そのときに契約書と領収書用意しときますんで」
「はい。わかりました」と答えたなつみは仁に手を握られたままで帰れない。
それに気付いた仁はなつみの手をパッと話す
「僕の手ったらね!」と戯けて言う仁
なつみは宜しくお願いしますと頭を下げると事務所を後にする。
見送るときに花岡が足を出し仁を引っ掛けさせようするが華麗に飛び越え後ろ足でその足を蹴飛ばす。
鼻の下を伸ばした仁その後ろ姿を見送る。
「なんかあの子しっくりこないわね…」と里美がなつみの話を聞いて違和感を覚えた事を口にする。
「えぇ、どこか〜?」となつみにデレデレな顔をした仁が振り向く。
「鼻の下伸ばしちゃってバッカみたい!」とかえでに言われ「伸びてねぇよ!」と我に帰る仁
花岡にも「お前バカみたいだぞ!」と言われる。
「私もそう思う」とかえでが里美の言葉に同意すると花岡も「なら、俺もそう思う」と続き「なんだよなら俺もって」とつっこむ仁
武「確かに。婚約者と別れるのにタイプじゃないなんて理由ちょっと希薄すぎないか?」
仁「大体お前ら素人なんだから首突っ込むなよ!なつみさんが別れたいって言ってるだから!いいから分かったんなら、買い物行けよ」と促す。
かえで、里美、花岡が再び出かけようとすると今度は男性が事務所を訪ねてきて、入り口で3人に出会す。
かえでが「(いつも暇なのに立て続けに)珍しいわね」と言い、仁にまたお客さんが来た事を伝え、3人は事務所を後にする。
その男性もまた新聞の切り抜きを持っていて、それを見て事務所を訪ねて来た事を伝える。
新聞の広告を見て「今度はくっつける方ね〜!」 と仁
え?っという反応の男性に仁は、なつみの持って来た切り抜きを指しこういうのも、うちはやってて!と説明する。
「別れさせるのと違ってこういうのは大変なんですよ〜」と仁に言われ不安がる男性に
「でも話を聞いてみないと分かりませんから」とフォローし仁は男性をソファに通す。
「相手が知ってる人ならまだいい方で相手に存在すら知られてないのに勝手に好きになっちゃって、なんとかして下さいって相談に来たりもするんですよ〜」と言う仁は続けて
「こないだなんか、きったないおじちゃんが入ってきて、石田ゆり子となんとかしてくれ〜って!塩ぶちまいて帰ってもらったよ!そんなん出来たら、俺だって星野源なんかよりも先に新垣結衣となんとかしてるってな〜」と言うと武に「なぁ?」と同意を求め楽しそうに話す仁。
「そうでしょ?」と男性にも同意を求め苦笑いしつつ「はい」と答える男性
こういうのは8割型上手くいかないと言う仁に
でも2割は上手くいくんですか?!と聞き返す男性
「プロですから!!!」とドヤる仁と武、智子
武から自分の名刺をノールックで受け取り男性に差し出す仁。それを受け取り彼も鞄から名刺を取り出し「服部 明です」と彼も名乗る。
服部明 ( はっとり あきら 会社員 )*8
服部から話を聞き始める。
「その相手は服部さんの事をご存知ですか?」
「え?」と聞き返す服部
「いや、だからその相手は服部さんの存在自体をご存知なのかな〜?って」
「あ!はい!実はその相手は僕の彼女なんです。だけど最近別れたいと言われて、理由を聞いても別れたいの一点張りで…。あの、お金ならいくらでも払います!ですからなんとかして下さい」と頭を下げ鞄から分厚い封筒を取り出す服部
「これは手付金ということで」
「ちょっとすみません」とその封筒を手にして中身を確認する仁とそれを覗き込む2人
2人は封筒の中身を見てテンションが上がった様子でいる。そんな2人をよそに仁は真剣な面持ちで
「服部さんうちはね、いくら大金を積まれたからって乗らない仕事を引き受けるようなそんな如何わしい事務所じゃないんですよ!」と諭すように言い封筒を服部に返す。
それを見て「え?!?」と驚く武と智子
服部は「そうですか…」と残念そうに返された封筒を受け取ろうとする。
すると仁はくるっと振り向いて先程とは打って変わって明るい声で「今回だけですよ〜」と封筒を持ったまま立ち上がる。
「だってあなた凄く困ってそうだから!僕困ってる人を見るとほっとけない性分なんです〜」という仁に「マザーテレサの生まれ変わり〜なんてね!」と武も煽てる。
「たけちゃん言い過ぎー!」と満更でもない顔の仁
「ありがとうございます!!!」と頭を下げる服部「それじゃあ、作戦を考えるので」と武からバインダーを受け取り話を聞こうとする仁に「すみません、今日はもう仕事に戻らないといけなくて」と申し訳なさそうに言う服部
「そしたら、明日もう一度来てくれますか?」と言うがなつみが13時に来ることを思い出した仁たちは「あ〜明日はちょっと忙しいな〜」となるが
「もういつでも好きなときに来てください〜」と服部に明るく伝える仁
「契約書と請求書もその時に用意しておきます」という武に続いて
「ロイヤルミルクティーとビスケットてきな物もご用意してお待ちしておりますぅ〜」と智子もハイテンションで伝える。
「そしたら2人とも服部さんをお見送りして」と仁が言うと2人は入り口の方へ急ぎ正座をして並ぶ🙇🏻♀️🙇🏻♂️(お代官様に、は〜と頭を下げるように)
仁「では明日お待ちしてます」
「宜しくお願いします」と頭を下げ服部が帰る。
その姿が居なくなったのを確認すると出入り口に向かって
「アディオース!ノーチェス🤞🏻」と手を振る仁
3人は服部が置いていった封筒を手にして喜ぶと仁はどこかに電話をかける
「あっ!大家さんですか〜?はい、金山探偵事務所の金山ですぅ、あのですね、滞納していた家賃3ヶ月分とさらに3ヶ月をまとめてお支払いしようと思いまして〜」
その後ろでフゥ〜〜仁カッコいい〜〜と盛り上がる2人
「なんなら6ヶ月〜」と付け足す仁だが「切られてるぅ〜」と電話を終える
♪〜Golden Hour / カルメン
----- 暗転
明転し2日目
-------------------------
読みづらいところもあったかと思いますがお読み頂きありがとうございます。
それぞれの事務所さまの大人の事情が満載…という事で円盤化はありません‥ですが届いた感想、要望は事務所さまの方にも送ってくださるそうなので!
もしかしたら…もしかしたら………!
願いが届く日が来たらいいな…🩹
カテコで記録用のカメラが入っています。と保さんがアナウンスしてくださる度にたつるくんが「皆さんもDVD欲しいですよね〜??」と客席に聞いてくれていました🥲✨
どうかたつるくんの願いもそして私たちの願いも各事務所さまに届いたら嬉しいですね!!
キズ絆の世界を皆様と共有できたら嬉しいです!
ありがとうございました!
こちらは個人的な備忘録であり、キズ絆関連の一切の権利は劇団ノーティーボーイズ様に帰属致します。「無断転載」は禁止とさせて頂きます。ブログのトラバ/引用、TwitterなどSNSでの拡散は歓迎です。