キズ絆 - Scene2-
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----- 明転 ( 次の日の事務所 )*1
事務所にはソファに座る花岡、スツールに腰掛け雑誌を読む智子。かえでは布巾を片手にテーブルを掃除し、武は「今度買い物でも行かない?」などとかえでに話掛ける。
花「かえでちゃん!里美さんの写ってる写真持ってないかな?」
か「あるにはあるけど、私も一緒に映っちゃってるよ?」
花「構わないよ、この写真は何百人と写ってるからね」と言うと何の写真?と3人に突っ込まれ見せて見せてと寄られる
花「それにかえでちゃんが映ってるところは切り取らせてもらうから」
か「あのさ、花岡さんには悪いんだけど、里美さんまだお兄ちゃんの事好きだと思うんだよね。だってあの2人本当に仲良かったんだよ!喧嘩だって一度もしてるとこ見た事ないし!」かえでの話にうんうんと相槌を打つ智子と武
「お兄ちゃん弁護士目指してたでしょ!昔から困ってる人を助けたいって言ってて、それで弁護士目指してがんばってたのに、それなのに大学3年のときだったかな?急に大学辞めてこの探偵事務所開いたの。里美さんと別れたのもその頃だったかな。なんで2人は別れちゃったんだろう…」
「きっとあいつが浮気でもしたんじゃないのか!顔がちょっと良いからって」と勝手な憶測をペラペラ喋る花岡にかえでは「お兄ちゃん今でこそあんな感じっていうか、女好きみたいに見えるかもしれないけど、昔はもっとちゃんとしてて真面目って感じで。とにかく全然違かったんだから!」と仁を庇う。
そこに仁が自分の部屋からペットボトルの水を片手に起きてくる
「なんでかえでが居るんだよ」と聞く仁
「バイトとして来てあげたんじゃない!電話を取る人が必要だと思って!」
「電話取る人なんてほかにいるだろ」と智子と武をさす
「時給なら2500円でいいよ!」
それを聞いた智子が「じゃあ、私もバイトがいい🙋🏼♀️」と立ち上がり俺も!と武が続く
「不満があるなら2人はいつ辞めてくれたっていいんだよ」と返す仁
「てか、アンタまでなんで居るんだよ?」と当たり前のようにソファに座っている花岡に聞く
花「俺がどこで何してようと俺の勝手だろ」
仁「勝手じゃないなぁ〜?ここは俺の事務所だよ?大体いつから居んだよ?」仁と目が合わないようにそっぽを向きシラを切る花岡
「いつから居るんですか?」もう一度敬語で聞き直す仁
武「俺が来た時にはもう居たな」
仁「え?居たの?てかどうやってここ入ったんだよ?」と驚く仁
仁もソファに腰掛けハッピターンを食べる
その様子を見てびっくりする花岡
「信じられないな!寝起きでそんな乾き物食べるなんて。喉に詰まらせるぞ!おい、これ飲め」と自分が飲んでいた飲み物を仁に飲ませようとする
「いらねぇよ!てか、なんだよその濁ったの!」と花岡に飲まされそうになった飲み物にも触れる
「プロテイン!」「なんで朝飲むんだよ」「朝飲むのがいいんだよ!知らないのかよ。だいたい25とはいえ、おっさんは朝起きたら口の中でネバネバしてるもんだろ」
「アンタにおっさん呼ばわりされたくないよ」
すると仁は閃いた!と言わんばかりに悪戯そうな顔をしてもう一度ハッピーターンに手を伸ばす
花岡はハッと声を出し仁がハッピーターンを口に運ぶ様子を見つめる。仁はそのまま、もう一口食べる「信じられないな!」と驚く花岡。
「さてはお前ジプシーか?!渇きを知らないジプシーキングスか?!」そう言うと立ち上がった花岡は入り口の方に向かって
「ジョービー‼️ジョーバー‼️」と大声で足踏みして手を鳴らす。
「うるさいよ!近所迷惑だろ!」と一喝する仁
「てか今日はスヌーピーかよ」と花岡のネクタイに突っ込む。
そんな茶番をしていると事務所の電話が鳴る
電話の近くにいた智子が出ようとすると仁は「いいよ!ともちゃん」と制し、「かえでー電話ー!」とキッチンにいる電話番として来たと言っていた妹を呼ぶ。
「ちょっと、お兄ちゃん出てよ!手が濡れてるから」とキッチンから出てきて言う。
「拭けばいいだろ〜」と言い「いいの?!お兄ちゃん?電話切れちゃうよ!」と出る素振りを見せないかえでと押し問答する。押しに負けた仁が電話に出る。
「切れてんじゃねーか!てかお前出ろよ!」と電話の近くでかえでと仁の押し問答を見てた智子に言う。
「お前が出るな!って」と不貞腐れた顔で言う智子
「お前?!」と聞き返す仁
すると再び鳴る電話
今度こそ電話番に来たお前が出ろと言わんばかりに、かえでを顎で使う。
かえでも負けじとお兄ちゃんが出てよと言わんばかりに顎で使う。
また押しに負けた仁が電話を取る
「おー!隼人かー!上がっておいで〜!」電話の相手は仁の知り合いの様子。
あの言ってたー?と電話の相手が分かっている様子の武が聞く
「かえで!そいつかっこいいぞ!」それを聞き嬉しそうな智子をよそに「どうせお兄ちゃんの友達なんてたかが知れてるでしょ」というかえで。ちょっと納得した様子の智子
続けてその人は自分の後輩でまだ有名ではないが、俳優だと説明する仁。
エレベーターで上がって来た音が聞こえる。
♪ 〜 夢芝居/梅沢富美男
え?なに?!となる仁と3人
「ちょっと、たけちゃん見てきてくれる?」
武が事務所の入り口の方は向かうと
曲に合わせて 半裸にジャケット サングラスを掛けた男性がラジカセを持って登場する。
彼は仁の後輩で俳優の 風祭隼人 ( かざまつり はやと )*2
隼人の登場にびっくりする仁たち
「おはようございます」と消えそうなくらい、小さなかすれた声で挨拶する隼人
仁「役者なんだから腹から声出せよ〜」とつっこみ「いつもそんな登場曲あったっけ?」と隼人に聞く
大袈裟に首を振る隼人に「今日からか〜」と仁
びっくりしている3人に仁は「風祭隼人」だと伝える
ざわつく3人に「本名だからこわいだろ〜」と3人の心の声が聞こえたかのように彼が名前までパンチがある事に触れる。
「ほら、かえで!かっこいいだろ?」と言うが
かえでは「サングラスで顔見えないし」と答える
すると隼人はサングラスをはずしかえでと智子に「ヘイ!ガールズ!」と挨拶をしズボンの後ろポケットからブロマイドを出し2人に渡す
引いているかえでと智子に
「ほら、ブロマイド!もらってあげて」と声をかける仁「今時ブロマイドって…」と言いつつ受け取ろうとすると隼人はブロマイドから手を離しヒラヒラ床に落とす
2人は悲鳴と共に「なんなのこの人」と言い後退りする
「ほら、なつみちゃんの相手だよ」と隼人はなつみの彼氏役をさせる為に呼んだと伝える。
そして「もう1人お願いしてた人は?」と隼人に聞く
隼人は指をパチンと鳴らしラジカセをつける
♪〜 薔薇は美しく散る
するとまたとんでも無くキャラの濃い真っ赤なフラメンコドレスを着た女性が事務所に入ってくる。
これには仁もびっくりした様子で全員引いている
隼人とその女性が踊り終わると
「私は!劇団花と夢主宰 草吹雪 美麗!」ととんでも無く大きな声で自己紹介する
草吹雪 美麗 ( くさふぶき みれい)*3
えっまた凄い名前…絶対売れないじゃんとざわつく4人
「芸名です!」と答えると
良かった…と安堵する4人
てか、大丈夫?この人に服部さんをたぶらかす役が出来るの?とコソコソ話す4人
「ご心配なく!草吹雪美麗が最も得意とする演技ですから」
「てかなんでこの人たち自分の名前いちいちフルネームで言うの」「名前を覚えて貰う為じゃないか?」
美麗「演じる場所が帝国劇場でも」
「オスカル!!」
隼人「アンドレー!!」
「下北OFF OFFシアターでも」
「「ありがとうございましたー」」
「全力で演じるそれが草吹雪美麗の演劇イズムですから!」
「帝劇では絶対やってないよね」「たしかに」とかえでと智子が笑い合っている
「しかも OFF OFFシアターって?w」いつもやられてるとこなんじゃない?と仁がフォロー
突然歩き出す美麗は身だしなみを整え
ソファに座る花岡の元に行くとヒールで花岡の太ももを踏み胸元からチケットを数枚取り出す
「痛えよ!なんだよこれ」
「劇団花と夢 第二回公演 王様とバラとYシャツと私のチケットです」
「結構立ち上げたばっかなんだな!絶対つまんないだろ」とつっこむ花岡「みんなで観に行きます」と答える仁に「え?私たちも?!」と騒つく智子たち
花岡に手を差し出す美麗
「なんだよ」「チケット代一枚6500円です」「チケット代取るのかよ」「ノルマですから!」「お前のノルマなんかしらねぇよ」「あわせて18万…250円」
「高くなってんじゃねぇか!てか端数の250円てなんだよ」「ノルマですから!!」「カードいけるか?」とポケットからクレジットカードを出し美麗に渡す
「払うのかよ」とつっこむ仁
カードを受け取る美麗
「僕も出ますから」と隼人が言うと「じゃあ、尚更みんなで見に行かないとな!」と仁が答える。
智子たちは私たちも?!と騒つく
チケットを確認しながら「俺火曜日しか行けないぞ?一緒に行こう」と仁に言う花岡
「あんたいいやつだな」と言い「一緒には行かねぇよ」と仁
隼人と美麗はいつの間にか下手に2人で体育座りして並ぶ
そこになつみが訪ねて来る。
「あの…昨日13時にまた来てくださいと言われたので」
「あー!なつみちゃん良いところに来たぁー。」
隼人がなつみの元に近づいてきて自己紹介し、かえでたちにあげたブロマイドを差し出す、同じく状況が読み込めないなつみに仁は「なつみちゃん貰っておいて」と声を掛ける。また床に落ちていくブロマイド…「あーもうそのままでいいよ〜」と仁は言い「たけちゃん拾っといて」と頼む。
仁から彼氏役を彼にしてもらう事を説明され「かっこいいでしょ?」と聞かれたなつみは愛想笑いで応える。
それに続いて美麗にも「劇団花と夢主催 草吹雪美麗 以後お見知り置きを」と挨拶され引き気味のなつみ
仁はなつみをソファーに座らせ、自分はスツールに腰掛けた。
「今日は、彼の写真を持ってきたんですけど」となつみは一枚の写真を仁に渡す。
それを受け取り写真を見た仁は、ひとり驚いた様子で席を立つと「ちょーっとお待ちいただけますか?」となつみに言うと「……ちょっと隼人なつみちゃんの相手を!」と隼人に声を掛ける。
「ちょっとたけちゃん!」仁は武に声を掛けると事務所のメンバーは部屋の隅に集まった。
「これ…見て」
「……………………!」驚く武と智子
「この人昨日の…………!」と状況を理解したかえで。
なつみを気にして声を顰め驚く事務所の面々。
すると空気を読まない花岡が「これ、昨日来た男じゃないか!」と大声をあげる
すかさず「アンタ声でかいよ!」と仁
「だってあれだろ、別れたくないっていう依頼できた男」
「しーーーーっ!!!!」
花岡を黙らせ、仁たちはコソコソと相談を始めた。
「もうしょうがないから先に来たなつみさんの依頼を受けて、男性の方はお金返して断ればいいじゃない」と見かねて提案するかえで
仁「…………無理だよ」
か「え?なんでよ?!」
仁「使っちゃったもん」
か「使っちゃったってそんな大金なにに?」
仁「滞納していた家賃3ヶ月分と向こう3ヶ月分の家賃前払い…それから焼肉なんかも」
武「そのあとお腹いっぱいなのに寿司も行っちゃったなー!」
「美味かったなー!」と盛り上がる仁、武、智子。
「お兄ちゃん美味かったじゃないでしょ!どうすんのよ!」
「どうすんだよー!」と花岡も追い討ちをかける。
「アンタまでうるさいよ」と言った仁だが「そうだ花岡さん金貸してよ。あんたお金持ちなんだろ?」と花岡に助けを求める
花「やだね」仁「なんでだよ!金持ってんだからいいだろ?」
「俺は確かに金は持っている。が!断固としてお前に金は貸さん!」と花岡も譲らない。
「それならこいつに全裸で土下座させるからさ!」と智子を売る仁
「ちょっと!なんであたしが花岡さんに全裸で土下座しなきゃいけないのよ!」と反論するがそれなら手を打とうかなとでもいうようなリアクションをしている花岡。
そんな事をしていると里美が事務所に入ってきて
「ちょっとー!お客さんよー!」と声を掛ける
「この方〜」と入口を振り返るが「あれ?」とその姿は見えない
「ほら、昨日私たちの帰り際に来た男性が…」と里美が言う。
仁たちは「「「服部さんだ!」」」とピンと来た様子で一斉に焦り出す。
慌てた仁はソファに座るなつみと隼人と美麗に駆け寄り「なつみちゃん、ちょっと向こうの部屋で練習して来てくれるかな?」
「え?」と戸惑うなつみだがそれに従い
隼人にセリフ合わせをする様に指示、仁は隼人の手をとり、なつみと隼人を奥の部屋に押し出した。
「それなら私は演出を!」と言う美麗の手を引っ張り、強引になつみら3人を自分の部屋に閉じ込めた。
ドアを抑える智子、仁、武、かえでの4人
それと入れ違いに「すいません、電話が掛かって来ちゃって」と電話対応をしていた旨を説明して服部が事務所に入って来た
ドアの前に並ぶ4人はJr.SPポーズ (千秋楽ver.)
「お忙しかったですか?」とその様子を見て聞く服部
仁「いやいや、いつでも好きな時にお越しくださいって言ったじゃないですか〜」と答え服部をソファへと通す
「あの、今日は彼女の写真を持って来たんです」と写真を差し出す服部から写真をパチンと手で挟む様に受け取る。(トトロのメイちゃんがまっくろくろすけを捕まえる様な)
そーっと手をどかしながら写真を確認する仁と
それを後ろから覗き込む事務所の面々
写真を確認し「「「は〜〜〜〜」」」とまあ、だよね、なつみさんだよね、、というリアクションをする仁達。「なんですか?!」というような反応の服部に「いや〜お綺麗な人ですね〜」と咄嗟に仁が言う
すると「あれ、この子なつみちゃ…」と里美が言ってしまいそれを遮るように仁が「里美ー!」と声を上げて「唐突ですけど、服部さん!僕の元婚約者の里美って言うんです〜」と里美を紹介する。「かえでちゃ〜ん!かえでちゃん!」とかえでも呼び「こっちは僕の妹のかえでです」と続けてかえでも紹介する。
それに続いて「花岡光一です」と服部に自己紹介する花岡は右手で名刺を渡すと左手はJr.SPポーズ (千秋楽ver.)
「ちょっとちげーよ!(Jr.SPポーズの手が)」と仁につっこまれる
「ほらかえで〜!里美に話があるんじゃなかったっけ〜!」と何も事情を知らない里美に服部さんとなつみの関係を伝えるように促す
「あぁ💡」と察したかえでは里美をキッチンの方に連れて行く
仁は「たけちゃんこの写真見えないところに仕舞っといて」と写真を手渡し指示する
「人をくっつけなきゃいけないのに僕が元婚約者とこれがこれでね〜」と自分と里美の関係を自虐する仁はセリフに合わせてバレエを披露して決めポーズ
(デジタル会報 左下の写真)
---客席拍手
その拍手を仁の後ろに立っている花岡が締める
👏🏻!👏🏻👏🏻👏🏻!
スツールに座り直す仁
「それで…」と話始める服部に
「なつみさんね〜」と名前を言ってしまう仁
「えっ、なんで名前?!」
「えっ、僕何か言いました?」ととぼける
「今なつみさんって」
「なつみか〜んって!ほら、さっきまでみんなでなつみか〜んについてディスカッションしてたんですよ〜」
「な?たけちゃん!」「あ!そうなんですよ〜なつみか〜んについて」智子にも振り慌てながら話を合わせ、かえでも「なつみか〜んといよか〜んはどっちがいいかー!なんて」
「どう思います〜?」と服部に振る仁 服部「さぁ?」と戸惑った顔
「え、もしかして彼女のお名前なつみさ〜んて言うんですか?!?名前まで素敵だ〜」と誤魔化す仁
「お前それは無理があるぞ〜」と余計な口を挟む花岡
「彼女は国舞なつみと言います。27歳で職業はOLです」
名前を既に知ってる仁たちは「へぇ〜〜」とどこか白々しく相槌する。
花岡がまた「国が舞い上がる〜」と言うと
服部「えっ!なんで分かるんですか?普通こくぶっていったら国分寺の方じゃないですか?」
仁「いやだな〜こくぶって言ったら普通は国が舞うってほうでしょ〜服部さん常識ないな〜」
本題に戻す仁
「服部さん本当になつみさんに振られる心当たり無いんですか?」
「だって服部さんお金持ちなんでしょ?」とかえでが言う
服部「なんでそれを」
かえで「あ、ほら手付け金を置いてったって」
仁「そう!言ったから!」
かえで「聞いたから!」
納得した様子の服部に
「単刀直入に言いますとお金目当てということはないですか?」と仁が聞く。
「そんなはずありません。親が会社を経営してるので、世間的に言えばそう言うこと(お金持ち)になるかもしれません。でもなつみは今でこそ僕の家のことを知っていますが、付き合い始めの頃からデートも割り勘にしようってなつみの方から言われたりして、プレゼントも高価なものは遠慮していました。」
仁「じゃあ、本当は僕みたい人がタイプで服部さんはタイプじゃないってことは?」
「なつみとは3年も付き合ってるんです。今更、僕の事タイプじゃないはずがありません!大体なつみが金山さんみたいな人、タイプだなんて絶対にありえません!」
それを聞き「私変かしら」とコソッとかえでに聞く仁の元婚約者の里美に気づき「あ、そういうわけじゃ」と気遣い頭を下げる服部。
すると隣の部屋から
「じんさーーんこの世界の果てまで行ってドピューってDVD見てもいいですか〜?」と声がし隼人が扉を開ける
すかさず扉を閉めるかえで、智子、武
そして振り向いた服部に隼人を見られないように服部に顔を合わせる仁(にらめっこ状態)
「今、顔見えました?」
「いや、金山さんで全く」
「ですよね」
里美「世界の果てまで行ってドピューってなに?」
「里美さんあのね!」と駆け寄るかえでを
「かえでいいから!」と止める。
「あのDVD面白いよなー!」と花岡
「アンタ見てんじゃねーよ!!!」
仁が服部に向かって「すいませんね、ちょっと別件の打ち合わせをやってるもんで」
服部「あぁいえ」
里美は「あの、服部さん!よかったらなつみさんと出会ったきっかけ聞かせてくれないかしら?」と服部の隣に座る。
勝手な事するなよと言いたげな仁だが服部が話し出す。
「ええ、実は彼女とは風俗のお店で…。なつみがそのお店に勤めていて僕が客として。そこで一目惚れして。あっ!今はもう辞めて、OLっていうのは本当ですよ!一年半くらい前までなつみは風俗で働いていて。何度かそんな仕事辞めて結婚しようと言ったんですが…あ、あの職業差別とかでは全くないですよ」
「でもたしかになんで彼女はそんな仕事…」とぽつりと呟く武
仁「ちょっと、たけちゃん」
「いいんです。僕も最初はそう思ってましたから、でも僕が何度言っても、なつみはいつもどこか煮え切らなくて。いい加減腹が立ってなんでだって問い詰めたんです。そしたら彼女やっと口を開いてくれて、よくある話なんですけど、実は彼女……」
すると服部がハッと何か察した様子で「宇宙人なんだろ!!!!!」と言い出す「最近じゃ人間の格好をした宇宙人がそこら中に居るって言うし!」「いや、よくはねぇだろ!」とつっこむ仁
「……実はそうなんです」と服部が言う。
「そうなの?!??!?」と言うと、驚きのあまり服部から一歩後ずさる仁
沈黙を破るように服部は里美を見てニコっと笑うと「冗談です」っと戯けて言う。
「いや、冗談かよ」「服部さん今のは冗談言う空気じゃないっすよ!」と武が静かに言う。(ちょっとキレてる?)
仁は服部の方にゆっくり近づくと
…バシッと服部の頭を叩く
「…?!」びっくりする服部
「ああああああっすいません!服部さんが余りにも…だったんでつい…」
服部も「すみません!!!あんまり暗い空気だったから冗談でも言った方が良いかと思って」と頭を下げる
仁「やだな〜そんな気を遣わないでくださいよ〜」
服部「実は彼女、親一人子一人でそのお母さんが病気で入院していて、それもお金のかかる病気だったんです。僕はお金の援助もするから仕事辞めて結婚しようって言ったんですけど、なつみはそんな事しなくていいって譲らなくて。でもそのお母さんも一年半前に亡くなって。なつみはやっと気持ちの整理もついて、仕事も辞めてプロポーズを受けてくれたんです。」
明の話を一通り聞いた仁は「じゃあ、その理由調べてみますんで。」と明に言う。
服部「ありがとうございます!」
仁を部屋の隅に引っ張り「ちょっとお兄ちゃん大丈夫なの?」と言うかえでに続いて花岡も「お前がそんなにいい加減なやつだと思わなかった。お前みたいなやつに里美さんは渡さんからな!」と言う
その様子に気付いた里美が「ちょっと何話してるの?」と話しかける
咄嗟に「あぁいや俺に何か協力できることはないかなー?なんて」と誤魔化す花岡
里美「なーに?いつの間に2人そんなに仲良くなってたの?」
「もうすっかりマブダチですよ〜!なぁ、かーなぶーん!」と仁と肩を組み戯ける花岡
「だれがカナブンだよ!」
「じゃあ僕はこれで」と告げる服部
「あっはい!なんかわかったら連絡しますから」
「よろしくお願いします!」
「じゃあ、たけちゃん!」と合図し
「あ、これ昨日の領収書です」と武が服部に渡す。
武と智子がまた床に膝をつけてお見送りをしようとすると「あの…もうそれはやめて下さい…」と断る服部
明が帰り、隣室で台詞合わせをしていたなつみ達を事務所に呼び戻す。
「なつみちゃん隼人とセリフ合わせ出来た?」と聞く仁に
「それが…」とどこか不安そうななつみ
これは台本じゃなく気持ちで演るもんだと隼人。
なつみの依頼にどこか違和感を感じでいた里美がなつみに本心なのかと問いかける。
「ごめんなさい!!!」と頭を下げるなつみは続けて
「本当は私…金山さんの事、全然タイプじゃないんです!!」
なつみの言葉に鳩が豆鉄砲を食ったような表情で「ちょっとお待ち下さい」立ち上がった仁はそのまま歩き出し自分の部屋に入った。
「ウソだーーーーーーーーー!!!」部屋から仁の叫び声が聞こえる。
ドアが開くとスンっとした顔で部屋から出てきた仁は何事も無かったかのように座っていたスツールに座り直すと
「なつみさんそこは強く強調しなくていいんだよ?」と言う
「ごめんなさい!!!」ともう一度謝るなつみに
「謝られた方が逆にね?」と言う
依頼はなつみの本心?なのかと聞き直し確信に迫る里美
「なつみさん本当にいいの?相手はお金持ちの社長の息子なんでしょ?」とかえでがなつみに言う「それ言っちゃ…」と武、智子はかえでを止める。
「なんでそれを?私…そんな事」とびっくりしているなつみに
「実家が お金持ち」って聞けばそれくらい分かりますよ〜と誤魔化す仁
「そうなんですね 」と納得するなつみに
「本当あなたいい子ね」と里美が言う。
「3年も付き合っていたのに、親に反対されたからって別れるの?」と言葉を選ばないかえで
「それもですか?!」とびっくりするなつみ
「すごいでしょ〜僕の調査能力ね〜」と誤魔化す仁
「はい…あの、実は私、一年半前まで、風…」
「あっ!なつみちゃんそれもこちらで…」となつみが直接職業を口にするのを止めてあげる仁
♪〜 心の宝物
「彼のお父さんもそれを調べたみたいで。彼のお父さんに別れてくれって言われたんです。私仕事のことは割り切っていたつもりだったんです。でもそう言われてやっぱりどこか後ろめたさがあって。」
「彼にその事は?」
「言えません」彼女は涙ながらに話す。
「それは……彼の夢は今の会社を大きくすることなんです。(会社を大きくして社会の役に立つんだって」
「…………」
「でも……彼は両親に反対されたら家を出て私と結婚する道を選ぶと思います。そういう人なんです」
里美「素敵な人じゃない」
「すごく誠実だけど、それでも、いやだからこそ別れたいんです」
仁「話は分かりました。なつみちゃんもう一度聞きます本当にその男性と別れたいんですね?」
「はい、だから別れたいんです。」彼女は決意したようにそうはっきりと答えた。
涙ながらに語るなつみの話をじっと聞いていた仁はきっぱりと顔を上げた。
「なつみさん、この依頼、正式にお受けします!」
♪〜 Rope-a-Dope / quasimode
------- 暗転
ここはこんなセリフでした!というご協力を切実に求めております🙇🏻♀️こちらにお願い致します(匿名メッセージですのでどなたでもお気軽にメッセージください)
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